情報メディア学会: Japanese Society for Information and Media Studies
更新日[2021.08.16]

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第22回研究会を開催

 2020年11月7日(土),折からの新型コロナウイルス感染拡大のため,春の研究大会と同じくオンラインにて,第22回研究会を開催しました.参加者は延べ61名(オンライン開催のため会員,非会員の別は不明)でした.

 すべての発表が終了した後,聴衆による投票(オンライン投票)を実施した結果,池内有為氏,林和弘氏による「日本の研究者によるプレプリントの活用状況と認識」が最優秀発表賞に選ばれました.

■ 研究会開催概要

日時:2020年11月7日(土)13:00〜17:30
会場:オンライン(Zoom)

           【 会員による一般発表 】

  1. コロナウイルス感染症と図書館メイカースペースへのリモートサービス導入の試みの今後
    ○長塚隆(鶴見大学)

  2. レファレンス協同データベースにおける未解決事例の分析
    〇津田美佑(筑波大学),池内淳(筑波大学)

  3. 新型コロナウイルス感染拡大により実施されたオンライン授業環境における障害学生への合理的配慮の現状と課題
    ○堀田愛美(専修大学),植村八潮(専修大学),野口武悟(専修大学)

  4. 日本の研究者によるプレプリントの活用状況と認識
    〇池内有為(文教大学・科学技術・学術政策研究所)
     林和弘(科学技術・学術政策研究所)

  5. ビブリオバトル・シンポジウムとは何か
    〇岡野裕行(皇學館大学)

■ 最優秀発表賞

■ 受賞者インタビュー new

Q1. 受賞の感想をお聞かせ下さい

(池内)たいへん嬉しく、光栄に思っています。調査にご協力下さった皆様、いつもアドバイスをいただいている茗溪図書館情報研究会の皆様、学会で質問して下さった皆様、投票して下さった皆様に心よりお礼申し上げます。このご恩は今後の研究で少しずつお返ししていきたいと思います。

(林)もともと化学を専攻していた私が、社会科学系の学会で初めていただいた発表賞となり、大変光栄に思っております。

Q2. 研究テーマの選定理由を教えてください

(池内・林)このチームでは、2016年頃から研究成果のオープン化、いわゆるオープンサイエンスの実態や制度を研究しています。当初は研究データに着目していたのですが、2020年はCOVID-19を契機としてプレプリントの投稿や活用が急速に拡がったため、これは調査するしかない!と思いました。分野によってプレプリントサーバの設立時期が異なり、利活用や受容の度合いが相当に異なると予想されるため、まずは質問紙調査によって日本の研究者の現状を明らかにしたいと考えました。また、このような研究成果のオープン化に係る調査は政策的にも重要なエビデンスや指標の候補となりうる点も大事なポイントでした。

Q3. 発表の準備などで苦労した点や工夫した点を教えてください

(池内)通常の発表では、後ろの方まで伝わるように「スライドの情報量少なめ・発話多め」を心がけています。今回はオンラインでしたので、全員が最前列に座っていると考えて、スライドの情報量を多くして、ポイントを絞ってゆっくりと話しました。
当日はチャットでも質疑のやり取りができたのが非常にありがたかったです。音声で発言しにくい場合や、後で質問を思いついた場合に有効だと思いました。

(林)共同発表者として、チャットを使って(質疑の時間を気にせず)補足説明をすることができたのは良かったと思いました。

Q4. 受賞を受けて、周囲の方々の反応はいかがでしたか

(池内・林)知り合いの会員の方からは、お褒めの言葉をいただきました。また、受賞したからというわけではないのですが、第6期科学技術・イノベーション基本計画の参考情報としてこの成果の一部を取り扱ってもいただけました。この研究は(まだ論文化しておりませんが)すでに社会インパクトを与えており、そのような内容を学会としても評価いただけたことをありがたく思います。

Q5. 今後の目標などありましたらば、教えてください

(池内・林)プレプリントの利活用や研究成果としての位置付けが今後どのように変わるのか、それとも変わらないのか、非常に興味深く思っています。あるいは、原著論文とそれを支えるピアレビューの位置づけの変化や、研究データの取り扱われ方も相補的に分析対象となります。これらについて継続的に調査を行うことによって、学術情報流通全体の変容を捉えていきたいと考えています。