第3回研究大会が開催される
6月26日に、東京大学山上会館において第3回研究大会が開催されました。
今回は、基礎情報学、メディア論、サイバーリテラシー論等の最新の研究成果を踏まえて、情報・メディアを捉える「目」についてあらためて考究するという趣旨のもとで基調講演とシンポジウムから構成される大会となりました。
参加者は会員、非会員、招待者等を含めて会場の収容定員を超えるほどの盛況ぶりで、基調講演開始後ただちに追加の椅子を搬入するほどでした。
大会は、午前9時40分からの坂元会長の挨拶で始まり、引き続いて西垣通氏による基調講演「基礎情報学とは何か―情報学の潮流を踏まえて」では、「情報=意味作用」という観点から、オートポイエーシス論、社会システム論、メディオロジーなどを手がかりに世界を「情報流」として捉えるラディカルな情報観・メディア観が提示されました。
午後からのシンポジウムでは、矢野直明氏の司会で、パネリストである白田秀彰氏、大黒岳彦氏からそれぞれの専門領域を背景とする話題提供の後、5時半まで、フロアも交えて活発な討論が行われました。特に、ネットワーク社会特有の諸問題をメディア論だけでなく、文化的側面からの特徴も踏まえて、各パネリスト独自の視点からのユニークな内容の意見が交わされ参加者の好評を得ました。
並行して、6機関が参加した展示・デモ、及び会員による10件のポスター研究発表があり、昼休みと休憩時間を中心に、多くの参加者が見学・討論する姿が見られました。
終了後、山上会館において行われた懇親会にも、講師・パネリストを含む30名あまりが参加し、賑やかな議論、歓談が繰り広げられました。
■研究大会概要
□開会、会長挨拶(9:40〜9:55)
□基調講演 (10:00〜11:30)
基礎情報学とは何か−情報学の潮流を踏まえて−
講師:西垣 通 氏(東京大学大学院情報学環教授)
□シンポジウム (14:30〜17:30)
「情報やメディアをとらえる眼」
パネリスト:矢野 直明 氏(サイバーリテラシー研究所代表)
白田 秀彰 氏(法政大学社会学部助教授)
大黒 岳彦 氏(明治大学情報コミュニケーション学部助教授)
□展示 (12:00〜16:30)
(1) (株)IAC(正一郎F、小中規模向け電子データサーバ、他)
(2) 科学技術振興機構データベース開発部(WEBラーニングプラザ)
(3) 科学技術振興機構情報提供部(JDream)
(4) クワンティ株式会社(Qloc Engine)
(5) 国立情報学研究所(東洋文庫貴重書図像資料ディジタル・アーカイブ)
(6) 凸版印刷株式会社(ウフィッツィ美術館共同プロジェクトDADDI)
(7) 株式会社日立製作所(ギガビットスイッチGS3000、他)
□ポスター発表 (12:00〜16:30)
1.ラディカル構成主義における「情報」概念
〜Ernst von Glaserfeld のコミュニケーション観に依拠して〜
門脇 渉(東京大学・学際情報学府)
2.組織研究における情報−組織問題
河井 延晃(東京大学大学院)
3.Web パーソナライゼーション機能の影響に関する調査研究
河島茂生(東京大学)・松井聡([株]シャノン)
4.国内の医学研究者による Structured Abstracts の評価
青木 仕(順天堂大学図書館)
5.図書館学サーチエンジンの公開に関する報告
田中 均・池田 美千絵(昭和女子大学)
6.情報検索の歴史の記録化
木本 幸子(大妻女子大学)・時実 象一(CAS東京事務所)・
山本 昭(愛知大学)・長塚 隆(鶴見大学)
7.高等学校「情報科」に関する生徒の態度調査
加藤 慶(横浜国立大学大学院)・上田 倫史(早稲田大学)
8.市民の情報利用行動調査
増田 和子(筑波大学大学院)
9.取引コストの視点によるデジタル・コンテンツに関する一考察
遠山 正朗・桐生 紘輔(長岡技術科学大学)
10.情報技術を利用した顧客志向型マーケティングの動向と課題
三木 千代子(筑波大学大学院)