第16回 研究大会 が開催されました 【PDFファイル】
■ 大会開催報告
2017年6月24日(土)に,関東学院大学金沢文庫キャンパスにて,第16回研究大会が開催されました。「学校司書への期待と養成の課題-情報教育との関りを視野に-」を基調テーマとしたシンポジウムの開催,並びに5件のポスター発表が行われました。参加者数は,正会員26名,非会員7名(但し,パネリスト等の4名を含む),学生会員1名,非会員学生6名の合計40名でした。
開会に先立ち,中山伸一会長から基調テーマやプログラムのご紹介をいただきました。
午前中は,「学校司書への期待と養成の課題-情報教育との関りを視野に-」と題して,コーディネーターに野末俊比古氏(青山学院大学教育人間科学部教育学科准教授),パネリストに天野由貴氏(椙山女学園大学図書館主任・司書/前椙山女学園高・中図書館学校司書),河西由美子氏(鶴見大学文学部ドキュメンテーション学科教授),日向良和氏(都留文科大学情報センター准教授)を迎え,シンポジウムを開催しました。
まずは3名のパネリストから,学校図書館や学校司書の経験,それらの役割に対する見解などをご発表いただきました。天野氏からは,本・メディア・情報リテラシーのプロとしての学校司書と,教員との関りについての説明がありました。日向氏からは,学校司書と情報リテラシー教育の在り方について,利用者それぞれの発達段階に応じたアプローチが必要との話題が出ました。河西氏からは,米国の例などをふまえて,図書館分野の情報リテラシーについて言及されました。
続いて,野末氏の進行のもと,「学校司書にどのような活躍が期待されるのか」「活躍ができる学校司書には何が求められるのか」「学校司書の養成に望まれることは何か」の3点を主な論点として,パネリストによるディスカッションが行われました。テーマの背景には,2014年6月の学校図書館法の改正の存在があります。それによって,学校には司書教諭のほか,学校図書館の運営の改善及び向上を図り,児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため,専ら学校図書館の職務に従事する職員(「学校司書」という。)を置くよう努めなければならない事が定められました。現在すでに,一部の大学で学校司書の養成が開始されています。
パネルディスカッションでは,学校図書館が,図書などの従来から存在するメディアを提供する場から,様々な形態のメディアを使用した多様な学びの提供の場へと変化していることが確認されました。学校司書は,新たなメディアが教育の現場に入ってきたときに,授業や教育の場でどのように生かせるかを示す役割が期待されるとの見方が提示されました。また,新たなデジタルメディアの使い方や強みを熟知し,教育の場で活用させることへの期待も示されました。コミュニケーションを通じて,学校司書の価値を教員側へアピールし,「学びの場」を広げていく力も求められるとの意見もありました。今後の課題としては,コミュニケーション能力やコンピテンシーを備える事,既に学校司書の職務に就いている人への教育をどうするかという問題が挙げられました。また,現行のモデルカリキュラムはあくまでモデルであって,多様性があってもよいのではないかとの見解が出されました。まだ始まったばかりの制度ですが,今回のこのシンポジウムを契機に,改めて期待と課題について考える場となりました。
午後は,5件のポスター発表があり,ライトニングトーク(口頭発表),ポスターを囲んだ意見交換,会員の投票による最優秀発表の選出と表彰が行われました。
ポスター発表者によるライトニングトークでは,岡野裕行氏(皇學館大学)による「学生主体による本を活用したコミュニティづくりの可能性と展望―ビブリオバトル@伊勢河崎と伊勢河崎一箱古本市の実践事例から―」,阿部ひかる氏(口頭発表者),清水綾香氏,増田理乃氏,森柚衣氏,角田裕之氏(以上鶴見大学)による「フォロワー獲得を目的とした大学図書館Twitterの内容分析」,酒井未穂氏(口頭発表者/専修大学),松井進氏(千葉県立西部図書館),野口武悟氏(専修大学),植村八潮氏(専修大学)による「デジタルテレビのアクセシビリティに関する予備的調査」,片山ふみ氏(口頭発表者/聖徳大学),佐藤賢一郎氏(聖徳大学),野口康人氏(筑波大学)による「ベテラン保育士の絵本に対する価値観:月刊誌の選定に着目して」,榎本翔氏(口頭発表者),小林俊貴氏,村田龍太郎氏,大房叶氏(以上筑波大学)による「機関リポジトリに収録されている修士論文の引用分析」の5件の発表が行われました。
その後,ポスター掲示コーナーにて,発表者と参加者の自由な意見交換の場が設けられ,発表内容に関する活発なやりとりが交わされました。意見交換やポスター見学が終了すると,会員による投票があり,最優秀発表には,酒井未穂氏,松井進氏,野口武悟氏,植村八潮氏による,「デジタルテレビのアクセシビリティに関する予備的調査」が選ばれました。最優秀発表者には,中山伸一会長より表彰が行われました。
閉会後には,希望者によるオプショナルツアーが開催され,神奈川県立金沢文庫の見学が行われました。金沢文庫は,鎌倉時代に北条実時が開設した武家文庫であり,現在は,北条氏金沢文庫に存在した資料と,一族の菩提寺である,称名寺に伝わった資料が多く収蔵され,中世歴史博物館の役割を果たしています。館内には,古書・古文書をはじめ,絵画や工芸品,彫刻などが保存,展示されていました。当日は,学芸員の方による解説も行われ,参加者は案内と共に中世の諸相を伝える資料を知ることできました。
■ 大会プログラム概要
■ ポスター発表
* 発表資料について
パネルディスカッション,ポスター発表について,発表者の予稿を掲載した「情報メディア学会第16回研究大会発表資料」を当日参加者に配付しました.残部がありますので,ご希望の方は 事務局 にお申し込みください.代金1,000円(他に送料を加算)は,発表資料送付時に同封する郵便振込票にてお払い込みください.
なお,ポスター発表予稿集原稿は本ページで公開しています.
デジタルテレビのアクセシビリティに関する予備的調査
−視覚障害者による利用の現状
酒井未穂(専修大学), 松井進(千葉県立西部図書館),
野口武悟(専修大学), 植村八潮(専修大学)
1. 最優秀ポスター発表受賞おめでとうございます.受賞について一言お願いします.
2. どういった経緯でこのメンバーで今回の研究を行うことになったのでしょうか?経緯を教えてください.
3. ポスター発表の研究概要について教えてください.
4. デザイン面などで工夫した点を教えてください.
5. ポスター制作にあたっての苦労話やエピソードなどありましたらば,教えてください.
6. ポスター発表時の会場の人からの反応はいかがでしたでしょうか?
7. ポスター発表の論文発表のご予定は?
■ おわりに
この大会の企画と準備は,以下の会員をメンバーとする大会企画委員会が中心となって行われました.これらの方々の多大のご尽力に感謝致します.
[大会企画委員会]
委員長 角田 裕之 鶴見大学 文学部
委 員 天野 晃 国立研究開発法人 物質・材料研究機構
委 員 石川 敬史 十文字学園女子大学
委 員 岡部 晋典 同志社大学 学習支援・教育開発センター
委 員 佐藤 翔 同志社大学 免許資格課程センター
委 員 千 錫烈 関東学院大学
委 員 中林 幸子 四国大学 文学部
委 員 長谷川幸代 中央大学
委 員 藤平 俊哉 科学技術振興機構 知識基盤情報部