情報メディア学会 第7期会長 植村 八潮
第7期会長就任にあたって
植村 八潮(専修大学)
情報メディア学は、高度に学際的な学問領域であり複合領域を研究テーマとしています。多様な学問領域の研究者が発表し、意見交換することで明らかになることもあります。本学会は、様々な情報提供を行うとともに、研究を発表し、意見交換する場を提供する役割を持ちます。
このような学会の基盤が形成する事ができましたのも、歴代の会長、理事・監事、会員の皆様のご尽力があったからこそと考えます。歴代の会長を列記させていただくと、坂元昂先生、渡部満彦先生、西垣通先生、中山伸一先生と錚々たるお名前が連なります。その研究業績、教育指導、影響力のどれをとっても素晴らしい先生方です。情報メディア学の理論構築と精緻化に貢献し、学会の基盤を作り、研究領域を確立されてきました。
現在、「情報」を冠した学会は数多く、それまであった学会や多くの学問領域で情報技術、情報学の知見が取り込まれてきました。また、情報学やメディア論そのものの研究も盛んに行われてきました。その結果、多くの学問領域が学際的領域に踏み込みつつ、互いの領域のオーバーラップが見えにくくもなっています。
そのなかでは、戦後に日本学術会議の設立をきっかけにスタートした学会と比較して、当学会は、会歴は浅いものの、そのこと以上に若い研究者が理事として活躍されていることで、若々しく活気のある学会といえます。
一般に学会は、学問領域が確立されていて研究者が集うことで成立しますが、当学会は、学会を設立することによって、研究者を育成し、情報メディア学の確立を図る「逆転の発想」によって誕生したともいえます。であるならば、新たな情報メディア学の確立も、情報メディア学会とともにある、といっても過言ではありません。情報メディア学の再定義も拡張も、これからの会員の研究の成果に期待されるといえるでしょう。
当学会は比較的に規模が小さいこともあってか、事務の外部委託はせず、完全に理事先生方のボランディアで運営されています。ご担当の先生のご尽力には頭の下がる思いです。お陰さまで財政は豊かではないものの黒字化していますが、学術団体を取り巻く経済状況を考えれば予断は許しません。
何よりも会盛を印象づけるのは旺盛な研究発表や会員の活躍です。魅力のある学会であることが、新入会員の参加につながります。そのためにも若手・中堅を中心とした理事の活躍と、会員の熱心な研究発表をもとに会盛の拡大につなげていきたいと思います。
2018年6月23日に中央大学で開催された情報メディア学会総会において、第7期の会長に就任することとなりました。情報メディア学会は2000年6月10日に発足し、当期に記念すべき20周年を迎えます。そのような大切な期に学会長を仰せつかることは思いもかけないことでした。周年事業を担うときの会長となりますと、私自身が力不足を感じております。まさに微力ながら学会の発展に貢献できればと思う次第です。